ウェルズ大聖堂 Wells Cathedral
マーケット・プレイスに戻り、今度は"Penniless Porch"というゲートを潜って、ウェルズ大聖堂の西正面(West Front)に立つ(写真下左から2枚目)。
美しい。”大聖堂の女王”とも呼ばれるのもむべなるかなだ。1175年から1490年に掛けて建築されたゴシック様式の建物だ。
”イギリスで最も詞的な大聖堂(The most poetic of the English Cathedrals)”とも謳われるという。
西正面は幅46m、高さ30mと大きくはない。黄色い石の壁面は折からの強風で殴り付ける雨に洗われ深みを増している。
その壁面には当初は500以上ものニッチがあり彫像が立っていたという。そして、現在でも300のオリジナルの彫像が残っているのだ。
気品に満ちた壮麗な佇まいだ。
"Admission Free"だが、大聖堂のメンテナンスには1日ポンド4000が必要だという。シニアの"Donations"の目安は£4ということだ。
回廊(写真下左)を進むと大聖堂の入り口に”写真撮影の許可証”の自販機がある。£3だ。
身廊に入る。彫刻された石の柱が林立する。2、3階のランセット窓の隊列、、天井の精密な装飾が荘厳だ(写真下右)。
身廊と翼廊がクロスする部分に有名な"Scissor Arches"がある(写真下左2枚)。はさみ型アーチは"Inverted Arch"とも呼ばれる。 これは1313年からクロス部分にメイン・タワーが増築されたが、基礎が不十分なため、その重量で倒壊の恐れが出てきた。 そこで補強のために1338年から10年掛けてこの独特なアーチが3ヶ所(クロスの西、北、南)加えられたのだ。 初めからのデザインではなく、必要に迫られての仕事がこの美しい造形を生み出したのだ。
西のはさみ型アーチに十字架に掛けられたキリストの像がある(写真下左)。これに関する写真はあまた見られるが、このことに関する記述は一切見当たらない。 何か意味するところがあるのだろうか?
北翼廊の壁にこれも有名な時計(Wells Clock)がある(写真上右2枚)。1390年に製作されたもので現在動いている機械製の時計としては世界で3番目、
イギリスでは2番目に古いものだという。ただし、現在ここにあるものは1838年にレプリカに置き換えられ、本物はロンドンの"Science Museum"で動いている。
文字盤の中央に地球があり、周りを太陽と月が回る構造は天動説の時代のものであることが分かる。24時間表示で一番外側の太陽が時間を示す(真上が昼の12時)。
写真上右から2番目では太陽を表すマークが真上にあるので昼の12時ということだ。。次の円で星が分を示しており、写真では4分の位置にあるのが分かる。
私の時計とほぼピタリだ。一番内側の円で月が回って月齢を1から30で示す。写真では白い月が15を指しており満月となる。
この月は満ち欠けをし、新月には白い部分が黒くなるのだという。中央の茶色の円が地球を表している。
時計の上に突き出した台座では15分毎に馬上の騎士の人形が駆け回り
(動画はこちら 音声も出ます)、
そして、"Jack Blandifers"と称される人形が右手のハンマーと両足のかかとで鐘を打つ
(写真右 動画はこちら 音声も出ます)。
丁度12時で動き出した。その賑やかなことといったら静粛な大聖堂に似合わないと思うのだが、これもユーモラスだ。
ここには2つのパイプオルガンがあった。一つはメイン・タワーの下、はさみ型アーチのない東面の頭上高くに迫り出している(写真右)。
もう一つは聖歌隊席(Choir)の一角にあった(写真上右)。
大聖堂の東の端(East End)に聖母礼拝堂(Lady Chapel)がある。1326年に建てられた8角形の礼拝堂だ。その5面のステンドグラスが下左5枚だ。
1325年から30年の作製だという。最東端のステンドグラスの下の祭壇は聖母マリアだろう(写真上左から2枚目)。
司教が毎朝ここで朝の礼拝をすることから大聖堂の一日が始まるのだという。その天井が上右から2枚目の写真だ。精緻を極めた装飾だ。
聖母礼拝堂以外にもステンドグラスは沢山あるが、古いものは南側の内陣通路にある2つのステンドグラスだ。1310年から20年のものだという(写真下右)。
北翼廊の出口から参事会会議場(Chapter House)に上る階段は、長い歳月の使用で磨り減っている(写真下左)。
1265年から80年にできたというから730年以上経っているわけだ。雨に濡れて滑りやすく怖い。
参事会会議場は1286年から1306年に建築された八角形の建物で中央の1本の柱で天井を支えている(写真下左から2枚目)。
壁際の聖職者が座る席に絵画がずらりと並べられ展覧会が開かれていた。
ヴィッカーズ・クロース(Vicars' Close)は14世紀中ごろに造られた教区牧師の集合住宅で完璧な姿で残っているイギリス最古の建物と謳われる(写真下右から2枚目)。
土砂降りの中、大聖堂の西正面を通り北側のクロースまで歩く。ゲートに着いた時雨脚が更に強くなった。ゲートの下で雨宿りをしていると、
銃剣を担いだセーラー服の兵隊がバスからぞろぞろ降りてきてゲートに飛び込んでくる(写真下右)。お陰でこちらは押し出され、雨に濡れる羽目になった。
これからパレードが行われるらしい。見たい気持ちもあるがこの雨ではスタートが遅れるだろう。先を急ぐことにする。
Address | Cathedral Green, Wells, Somerset BA5 2UE |
Telephone | 01749 674483 |
Web Site | Wells Cathedral |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
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